「桜石」とは、日本の京都府でしか産出されない特殊な鉱物です。宝石業界では「アイオライト」の名を持つ「菫青石」が、風化する過程で白雲母や絹雲母などの雲母類からなる鉱物に置き換わった仮晶鉱物です。（仮晶とは、鉱物が元の鉱物から別の鉱物に置き換わる現象のこと。）非常にもろい石です。
名のとおり、桜のような見た目の結晶、色合いから最近になって海外の鉱物愛好家の間でも話題になりました。
「桜石」は非常に特殊な条件で生じた風化鉱物でもあり、一つの鉱物種として分類できない、複雑な構造の石です。英名ではラテン語で桜（ニュアンス的には食用チェリー向けの桜の種にちかいもの）からちなんだ「Cerasite」を持っていますが、これらはIMA非公認の名前です。
桜のように見える「桜石」が桜を代表する日本で産出されたのは、奇跡的な偶然とも言えるでしょう。