「方解石」は、世界中で広く見られる代表的な炭酸塩鉱物です。産地によって様々な姿を見せますが、中には非常に奇妙なものも存在します。
とくに海外の鉱物市場で最近出回り始めた、「パンダカルサイト」（Panda calcite）の通称で知られる中国で産出された非常に奇妙な「方解石」があります。
大きな特徴として、「方解石」ではまれな六角形の白い結晶を持ち、その中心には閃亜鉛鉱の軸が存在するクラスターを見せます。「方解石」部分は紫外線ライトで赤からオレンジ色に発光します。この特異な結晶は、すでに存在していた「閃亜鉛鉱」の上に「方解石」が後から二次成長したものだと考えられます。
具体的な産地情報は不確かであるものの、福建省の泉州市と竜岩市からのサンプルが存在するとされています。
「パンダカルサイト」の通称ですが、おそらく標本の外見がそのままデフォルメされたパンダのように見えたことからつけられたのでしょう。日本ではまだ知られていない産地の方解石でしたが、今後日本の鉱物市場に登場する可能性は高いです。
ただし、海外市場に出回っている標本の多くは、方解石の輝きを強調するため表面にオイルが塗られていることがありますので、購入時にはその点に注意が必要です。