「アエリン石」とは、名前の由来であるギリシャ語で「空色」を意味する言葉にちなむ通り、ラピスラズリやヂュモルチ石を思わせる鮮やかな青色が特徴の鉱物です。化学組成は非常に複雑ですが、ケイ酸塩鉱物の一種に分類されます。明るい空色のものもあれば、シックな夜空を思わせる暗い青色のものも見られます。
結晶は非常に微細で、主に青色片岩相の母岩の表面に薄膜状（ひまく状）に広がる形で産出するのが特徴です。また、他の鉱物を青く染めるインクルージョンとして含まれることもあります。
「アエリン石」の標本として有名なのが、スペイン・アラゴン州産のものです。「アエリン石」は性質上、単独で大きく成長することがほとんどないため、この産地で見られる、肉眼で確認できるほど美しく青く染まった岩石状の標本は、ここならではの特産鉱物と言っても過言ではありません。
この地域の青色片岩相の変成作用により、「アエリン石」と共生する石英が青く染められた**「青水晶（ブルークォーツ）」**も産出します。青色の水晶は世界的にも非常に珍しく、この地を象徴する代表的な鉱物のひとつです。